「すみません。ちょっと惑星間移住のことを話したいのですが」

「はい。どこの惑星に行きたいんですか」

「火星に」

「あっ、火星はね、人気ないので空いてますよ」

「そうなんですか」

「そうなんですよ。あそこは暑いし寒いから嫌われているんです」

「へえー。逆に人気のところはどこですか」

「うーん……。まあ、エウロパですかね」

「そうなんですか。エウロパに移住させてください」

「エウロパに移住するとなると30憶が必要ですよ」

「あっ、それじゃだめだ」

「火星は2000円です」

「じゃあ火星にしとこうかな。ちなみに、あなただったらどの星に行きたいですか」

「わたしは地球が好きなので、どこにも行きたくないですね」

「それを聞くと確かに……。やっぱり今回はやめとこうかな」

「いいんですか」

「はい。話してたらちょっと、どこにも行きたくなくなりました」

「何だか申し訳ないことをしてしまいました。わたしは惑星間移住の案内役として失格ですね」

「あははは、いえいえ。おかげで、地球の良さに気付かされました」

「そうですか。あははは」

「あははは」